「PET検査を受けるとき、コンタクトレンズは外さないといけないの?」そんな疑問を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
特に視力矯正用のレンズを日常的に使っている方にとっては、検査中に外す必要があるのかどうかは、気になるポイントのひとつです。
この記事では、PET検査時のコンタクトレンズの扱いについて、医療機関ごとの実際の対応や注意点をもとに、わかりやすく解説します。
着用が認められるケースと、外した方がよいケースの違いや、事前に確認しておきたいこと、検査後のレンズ使用に関する注意点なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
PET検査とは?目的と基本の流れを簡単に
PET検査と聞くと、「がんの検査」というイメージを持つ方も多いかもしれません。ここでは、PET検査がどのような仕組みで行われるのか、何を目的としているのかをわかりやすく解説します。
FDGという放射性ブドウ糖薬剤を注射して全身を撮影する検査
PET検査(Positron Emission Tomography)は、体内の代謝活動を画像として映し出す検査です。
検査では、FDG(フルオロデオキシグルコース)という放射性ブドウ糖薬剤を注射し、その薬剤が細胞に取り込まれる様子を専用のカメラで撮影します。
▼PET検査の基本情報
項目 | 内容 |
使用薬剤 | 放射性ブドウ糖(FDG) |
撮影方法 | FDGを静脈注射 → 全身の代謝を撮影 |
撮影時間 | 約15〜30分 |
痛み | 基本的になし(安静にして横になるだけ) |
がん細胞のように代謝が活発な組織は、FDGを多く吸収するため、画像上で明るく映るのが特徴です。体の中でどの部分が活発に動いているのかを調べることで、病変の早期発見や治療の効果確認が可能になります。
検査は1日がかりになることもありますが、痛みを伴う処置はなく、静かに横になって受けるだけで完了します。薬剤の注射後、体に薬が行き渡るまで安静に待機する時間が設けられます。
主にがんや炎症の活動を可視化できる
PET検査は特にがんの早期発見や転移の確認、再発チェックなどに使われることが多いですが、それだけに限られません。炎症性疾患や心疾患、認知症の評価にも応用されています。
この検査の最大の特徴は、「形ではなく動き(代謝)」を見るという点です。CTやMRIが体の構造を写すのに対し、PET検査は細胞の活動レベルを可視化します。
そのため、CTやMRIでは見つからなかった病変がPET検査で検出されることもあり、他の画像診断と組み合わせて使われることが多いのが実情です。
がん治療を受けた後に再発の有無を確認したい場合や、炎症がどこに起きているかを知りたいときなど、医師の判断によりPET検査が選ばれるケースは多岐にわたります。
PET検査中はコンタクトを外す必要はある?
PET検査を受ける際に、「コンタクトレンズは外さなければいけないのかな?」と不安に感じる方も多いでしょう。
実際の対応は施設によって異なりますが、ここでは基本的な考え方や注意点について整理してお伝えします。
基本的には「矯正目的のコンタクトレンズ」は着用OK
PET検査では、視力矯正のために使用する一般的なコンタクトレンズは、多くの医療機関で着用したまま検査を受けても問題ないとされています。
これは、PET検査が磁気や金属に反応するMRIとは異なり、放射性薬剤の代謝分布を見る検査であるため、コンタクトレンズが検査結果に与える影響は基本的にないとされているためです。
ただし、目元の不快感や乾燥によって検査中に目を動かしてしまうと、画像にブレが出る可能性もゼロではありません。特にドライアイの傾向がある方や、長時間の装用で違和感が出やすい方は、あらかじめ外しておくことで安心して検査に集中できることもあります。
カラーコンタクトは外すよう求められることが多い
視力矯正を目的としないカラーコンタクトや装飾性のレンズは、施設によっては検査前に外すよう案内されることがあります。
▼カラーコンタクトが避けられる理由
理由 | 内容 |
目的 | 視力補正ではなく装飾用のため、検査時に不要 |
安全性 | PET検査では問題になることは少ないが、MRI検査を同日に受ける場合は外すよう求められる |
確認事項 | 検査案内に「コンタクトは外してください」と記載されているかどうかを確認しておく |
カラーコンタクトの金属成分(酸化鉄や酸化チタン)が問題となるのはMRI検査の場合で、PET検査単独では影響は確認されていません。
もしPET検査とMRI検査を併用する日程の場合は、事前に外す準備をしておくと安心です。
一部の施設では全てのコンタクトを外すルールを採用
一部の検査施設では、安全性や検査の正確さを優先し、「すべてのコンタクトレンズは外してください」と明確に案内している場合もあります。これは、撮影範囲に目元が含まれるケースや、使用している機器・プロトコルに応じた内部方針に基づく対応です。
たとえば、脳や眼窩(目の周囲)の撮影を含む場合には、レンズの存在が画像に干渉することを避けるため、一律に外すルールを採用している施設もあるようです。
こうしたケースでは、視力に不安がある方でも、検査中はメガネやレンズを使用できない可能性があります。当日の案内をよく確認し、不明点があれば遠慮なく問い合わせることが重要です。
検査後もいつも通りコンタクトレンズを使ってOK
PET検査でコンタクトレンズを外した場合、検査が終わったあと、「すぐにコンタクトレンズを再装着しても大丈夫かな?」と心配になる方もいるかもしれません。
ここでは、検査後のレンズ使用に関する基本的な考え方と、目をいたわるケアについて解説します。
検査後はすぐにコンタクト再装着可能
PET検査後にコンタクトレンズを再装着することに関して、明確な制限は設けられていないケースがほとんどです。
検査で使用されるFDGは、静脈から投与され、全身に分布して代謝活動を可視化するものです。目や角膜に直接影響を与えることはありませんし、麻酔や処置が行われるわけでもないため、検査終了後にすぐレンズを装着しても問題はないとされています。
ただし、検査中の待機時間や室内の乾燥により、目が少し疲れていたり、乾きやすくなっている可能性もあります。目の状態をよく見て、違和感があれば無理せず少し時間をおいてから装着するのがおすすめです。
目が乾いている場合は人工涙液で保湿ケアを
検査当日は待機時間が長く、室内の空調によって目が乾燥しやすい環境に置かれることもあります。
そのため、コンタクトを再装着する前に目の状態を整えることが大切です。
▼検査後にできる目のケア方法
ケア方法 | 内容 |
人工涙液を使う | 目のうるおいを補い、乾燥を和らげる |
目を閉じて休める | 数分間の休眼で負担を軽減 |
スマホやPCの使用を控える | 目の疲れを悪化させないために |
目のコンディションを整えてから装着することで、違和感なく一日を快適に過ごすことができます。とくに長時間コンタクトを装用する方は、検査後に少し目をいたわる時間を設けてみてください。
まとめ
PET検査を受ける際、矯正用のコンタクトレンズは基本的にそのまま装着していても問題ないとされています。カラーコンタクトや装飾性のあるレンズについては、検査画像に影響を与える可能性があるため、外すよう案内されることもあります。
また、施設によっては検査の方針や機器の仕様により、すべてのコンタクトを外すよう求められる場合もあります。そのため、不安がある場合は、検査前に医療機関へ確認しておくと安心です。
無理のない範囲で目の状態に合わせながら、落ち着いて検査に臨んでください。