コンタクトレンズの処方箋を見ていて、「AXってなに?」「この数字、どうやって見ればいいの?」と戸惑ったことはありませんか?特に乱視用のコンタクトを使っている方にとって、AXは見え方や装用感に大きく関わる大切な項目です。
この数字の意味を正しく理解していないと、せっかくのレンズでも違和感や疲れを感じる原因になってしまうことも。
この記事では、AXの基本的な役割から、数値の見方、処方箋の読み取り方、そして自分に合ったレンズを選ぶコツまでを、わかりやすく解説します。初めての方でも安心して読める内容になっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
コンタクトレンズ処方箋に記載されるAXとは?
コンタクトレンズの処方箋に書かれている「AX」という文字、初めて見る方にとっては何のことだろう?と不安になりますよね。
ここでは、AXの意味や役割、どんなレンズで必要になるのか、そして数字の見方までをわかりやすくご紹介します。
AXはどんな意味?乱視レンズでの役割と必要なケース
AX(アックス)は「Axis=軸」の略で、乱視がどの方向にあるのかを示す角度のことです。視力のゆがみが起きている方向を表すこの数字は、乱視をしっかり矯正するために欠かせません。
▼AXが意味するもの
項目 | 内容 |
用語 | Axis(アックス/軸度) |
単位 | 角度(0~180度) |
役割 | 乱視の向き(どの方向にゆがみがあるか)を示す |
乱視用のコンタクトレンズでは、この「向き」に合わせてレンズを作る必要があります。向きが合っていないと、せっかくの度数も正しく働かず、視界がぼやけてしまうことも。
つまりAXはただの数字ではなく、「乱視のある人にとって、自分に合ったレンズを作るための座標」のような役割を持っているのです。
AXが記載されるのはどんなとき?対象となるレンズの種類
すべての処方箋にAXが書かれているわけではありません。この項目が記載されるのは、「乱視用」のコンタクトレンズに限られます。
▼AXが必要なレンズ・不要なレンズ
レンズの種類 | AXの有無 | 対象 |
乱視用(トーリックレンズ) | あり | 乱視がある人 |
通常の近視・遠視用 | なし | 乱視がない人 |
遠近両用コンタクト | 基本なし | 老視などに対応 |
乱視が軽度の場合は、通常のコンタクトで対応できることもありますが、中度以上になると、AXの数値に基づいた乱視専用のレンズが必要になります。
AXの数値はどう見る?AX90やAX180の意味もチェック
AXの数値は、乱視が発生している角度を0~180の範囲で示しています。処方箋には「AX 90」や「AX 180」などと書かれており、それぞれ特定の方向を意味します。
▼AXの代表的な数値と方向の例
AXの数値 | 乱視の方向 |
90 | 上下(垂直)方向の乱視 |
180 | 左右(水平方向)の乱視 |
45 / 135 | 斜め方向の乱視(斜乱視) |
AXは1度単位で表されますが、乱視用コンタクトレンズは通常10度刻みで選べることが多く、細かい角度は商品によって対応が異なる場合があります。
角度の数値を見るだけで、自分の目にどんな方向のゆがみがあるかがわかります。この数字があるからこそ、自分に合った見え方が実現できると言えるでしょう。
処方箋を正しく読むために知っておきたいこと
コンタクトレンズの処方箋には、視力を補正するための複数の数値が記載されています。どの数値も大切ですが、特に「AX(軸度)」「CYL(乱視度数)」「SPH(球面度数)」は、乱視の有無にかかわらず目の状態を表す基本的な項目です。
ここでは、それぞれの数値がどんな意味を持ち、どのように決められているのかを見ていきましょう。
処方箋の見方を整理|AX・CYL・SPHの違いを解説
処方箋に書かれている「AX」「CYL」「SPH」という3つの項目。それぞれ何を意味していて、どのように違うのでしょうか?
▼視力矯正に必要な3つの基本項目
項目 | 説明 | 主な役割 |
SPH(スフィア) | 近視・遠視の度数を表す | 視力のピントを調整 |
CYL(シリンダー) | 乱視の強さ(ゆがみの度合い)を表す | ゆがみの矯正 |
AX(アックス) | 乱視の方向(軸)を表す | 乱視の向きを補正 |
SPHは近視や遠視をどれだけ矯正するかを示す数値で、CYLは乱視がどれくらいあるか(ゆがみの強さ)を数値化したものです。そして、AXはその乱視がどの方向に出ているかを角度で示しています。
この3つは連動しており、特に乱視がある場合は「CYLとAX」のセットでの矯正が必要になります。
それぞれの数値はどうやって決まるの?検査の流れ
処方箋に記載される数値は、すべて眼科での視力検査をもとに決められます。では、その検査はどのような流れで行われるのでしょうか?
▼コンタクトレンズ処方時の検査の流れ(主な例)
- 視力の測定(裸眼視力・矯正視力)
- オートレフ(機械による目の状態の自動測定)
- 屈折検査(レンズを使って正確な度数を測定)
- 乱視の有無と方向のチェック
- 装用テスト(トライアルレンズでの見え方確認)
これらの検査を通じて、SPHやCYL、AXなどの数値が正確に割り出されます。特に乱視のある方は、わずかな数値の違いでも見え方が変わるため、丁寧な測定が欠かせません。
AXの数値はどう決まる?眼科での測定方法
AXは、乱視がある場合に測定される「乱視の方向」を示す角度の数値です。では、その角度はどうやって決まるのでしょうか?
眼科では、主に以下の方法でAXを測定します。
▼AX(軸度)の測定方法
方法 | 内容 |
オートレフケラトメーター | 機械によって角膜のカーブを自動的に測定し、乱視の方向と度数を確認する |
自覚検査(フォロプター使用) | 実際にレンズを使って見え方を確認しながら、最適な角度を微調整する |
AXの角度は1度単位で指定されるため、特に細かい調整が必要なケースでは自覚検査が重要になります。「AX 90」と「AX 95」では視界に違和感が出ることもあるため、眼科での検査はとても慎重に行われます。
AXの数値が合わないときに起きる不調とは?
乱視用コンタクトを使用している方の中には、「なんだか見えづらい」「つけ心地がしっくりこない」と感じた経験がある方もいるかもしれません。
ここでは、AXがずれているときに起きやすい不調について詳しく見ていきます。
見え方に違和感があるときはAXをチェック
乱視用のコンタクトレンズで「ピントが合いにくい」「視界がぼやける」「文字がにじんで見える」などの違和感を覚えたら、まず確認したいのがAXの数値です。
AXは、乱視の方向を矯正するための角度です。この角度が自分の目と合っていないと、乱視が正しく補正されず、見え方にズレが生じてしまいます。
▼AXが合っていないときの主な見え方の違和感
症状 | 内容 |
ピントが合わない | 目を細めないと物がはっきり見えない |
文字がにじむ | スマホや本の文字がぼやける・二重に見える |
視界が不安定 | 見る方向によって見え方が変わる、ゆれ感がある |
こうした症状が続くと、視覚情報の処理に負担がかかり、目の疲れや頭痛につながるケースもあります。
見え方に違和感を感じたときは、度数(SPHやCYL)だけでなく、AXも含めて処方内容を見直すという意識が大切です。
AXと快適なフィット感の関係とは
AXの数値は見え方だけでなく、コンタクトレンズの装用感(つけ心地)にも影響することがあります。乱視用レンズは、AXの角度を保つために特殊な構造(プリズムバラストなど)を持っていることが多く、レンズの回転を防ぐ仕組みが働いています。
この仕組みがうまく機能していないと、AXがずれて見え方が悪くなるだけでなく、「まぶたに当たる感じが気になる」「異物感がある」といった装用感の不快さにつながることも。
▼AXのズレと装用感の変化
- レンズがずれるとAXの角度もずれ、視界が不安定になる
- レンズの安定性が悪いと、瞬きのたびに視界が変わる
- 目のカーブに合っていない場合、フィット感が悪くなることも
快適に装用するには、AXの数値だけでなく、ベースカーブ(BC)やレンズ素材、形状との相性も考慮する必要があります。
装用感に違和感があるときは、AXのズレが原因になっていることもあるため、見え方とあわせてチェックしてみましょう。
合わないAXを使い続けるとどうなる?
AXが合っていない状態でコンタクトレンズを使い続けると、視界の不安定さや装用感の不快さが慢性的になり、日常生活に支障をきたす場合があります。
▼合わないAXによる長期的な影響
影響 | 説明 |
慢性的な疲れ目 | 見えづらさをカバーするために目が常に緊張状態になる |
頭痛・肩こり | 視覚のストレスが全身の不調につながる |
集中力の低下 | 視界が安定しないことで作業効率が落ちる |
また、誤ったAXのまま通販などで自己判断で購入を繰り返してしまうと、目の状態をさらに悪化させるリスクもあります。
見え方やつけ心地に少しでも違和感を覚えたら、慣れるまで我慢ではなく、早めに眼科で再チェックするようにしましょう。
AXに関するよくある疑問Q&A
AXは乱視用コンタクトに欠かせない項目ですが、実際に使い始めると「眼鏡のときと同じでいいの?」「この数字ってどう見ればいいの?」といった疑問を感じる方も多いようです。
ここでは、AXに関してよくある質問を取り上げ、わかりやすくお答えします。
眼鏡とコンタクトのAXは同じじゃないの?
よくある誤解のひとつに、眼鏡の処方とコンタクトの処方は同じという考えがあります。実は、眼鏡とコンタクトではAXの数値が異なる場合があるため、使い回すのはおすすめできません。
▼眼鏡とコンタクトのAXが異なる理由
理由 | 内容 |
装用位置の違い | 眼鏡は目から離れた位置、コンタクトは角膜に直接のせる |
レンズの設計の違い | 光の屈折・焦点の合わせ方が異なる |
乱視の補正角度の最適化 | 装用方法に合わせて微調整されることがある |
たとえば、眼鏡では「AX 180」とされていたものが、コンタクトでは「AX 175」となることも珍しくありません。これはレンズと目の距離や角度によって最適な補正が変わるためです。
眼鏡の処方箋をもとに自己判断で注文してしまうと、見え方に違和感を感じる可能性が高くなります。そのため、コンタクトを作る際は眼科で専用の処方を受けるようにしましょう。
AX90とAX180ってどう違うの?よくある勘違い
処方箋に「AX 90」や「AX 180」と書かれているのを見ると、「数字が大きいほど度数が強いの?」と誤解してしまう方もいます。ですが、AXはあくまで角度を表す数値であり、度数の強さとは関係ありません。
▼AX 90とAX 180の違い
AXの数値 | 方向 | どんな乱視? |
90度 | 垂直方向(上下) | 垂直方向に歪みがある |
180度 | 水平方向(左右) | 水平方向に歪みがある |
AXの数値が90と180であっても、CYLが同じであれば乱視の度数自体は変わりません。どちらの角度にゆがみがあるかによって、レンズの設計が異なるというだけです。
数字が高い=強いというイメージではなく、角度を示しているだけと認識するのがポイントです。
ネットで買うとき、AXはどう確認すれば安心?
ネットでコンタクトレンズを購入する際に不安になるのが、「このAXで合っているのかな?」という確認方法です。特に初めて乱視用レンズを買う場合、入力項目の多さに戸惑う方も多いかもしれません。
安心して購入するには、必ず眼科で発行された最新の処方箋をもとに注文することが大前提です。
▼ネット購入時に確認すべき3つのポイント
- 処方箋の有効期限が切れていないかを確認する(期限は眼科によって異なる)
- AX・CYL・SPHがすべて記載されているか確認する
- 入力ミスを防ぐため、公式の記入例ページを参考にする
AXは1度違うだけでも見え方に違和感が出ることがあります。そのため、古い処方箋や自己判断での購入は避けるようにしましょう。
また、購入サイトによってはAXの選択肢が「5度刻み」などになっていることがあります。手元の処方箋と一致しない場合は、事前にメーカーや眼科に相談するのが安心です。
自分に合ったコンタクトレンズを選ぶコツ
コンタクトレンズは、ただ視力を補うだけでなく、毎日の快適さにも大きく関わるアイテムです。特に乱視用レンズの場合、AX(軸度)・CYL(乱視度数)・SPH(近視・遠視の度数)など、いくつもの数値を正しく理解し、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
ここでは、正確な数値の読み取り方や、快適に装用するためのポイントをご紹介します。
AX・CYL・SPHの3つの数値をしっかり知ろう
コンタクトレンズの処方箋に記載されているAX・CYL・SPH。これら3つの数値は、乱視矯正において最も基本的で大切なデータです。
▼乱視矯正に必要な3つの数値
項目 | 役割 | 主に関係する症状 |
SPH(球面度数) | 近視・遠視の度合いを補正 | 視界のピントのズレ |
CYL(乱視度数) | 乱視の強さ(ゆがみの程度)を補正 | 二重に見える・にじむ |
AX(軸度) | 乱視の方向(角度)を補正 | 方向による見えにくさ |
この3つは、それぞれが別の役割を持ちながらも相互に連携しています。たとえば、SPHとCYLのバランスが取れていても、AXがずれていると乱視はしっかり矯正されません。
AX以外にもある!快適さを左右するポイント
AX・CYL・SPHが正確でも、「なんとなくつけ心地が悪い」「目が疲れやすい」と感じることがあります。その原因は、レンズの度数以外の要素にあるかもしれません。
▼装用感や快適さに関わる主なポイント
項目 | 説明 |
ベースカーブ(BC) | 角膜のカーブに合わせたレンズの曲がり具合 |
直径(DIA) | レンズの大きさ(サイズ) |
レンズ素材 | 酸素透過性や保湿性に関わる |
装用時間の適正 | 日常的には終日装用(12~14時間程度)が基本。連続装用は医師の指示が必要 |
たとえば、BC(ベースカーブ)が合っていないとレンズがズレやすく、視界がブレたり異物感を覚えたりします。また、目が乾きやすい方には保湿性に優れた素材のレンズが向いていることもあります。
このように、数値だけでなく、装用感を左右する要素をトータルで考えることが快適さのカギになります。
まずは眼科で処方を受けよう
「処方箋なしでも買えるから」と、つい自己判断でコンタクトを選んでしまう方もいるかもしれません。しかし、快適に、そして安全に使うためには、まずは眼科での診察と処方が欠かせません。
▼眼科で処方を受けるメリット
- 正確な視力と乱視の測定ができる
- 目の健康状態もあわせて確認できる
- 自分に合ったレンズの種類・装用時間などがわかる
- トライアルレンズでつけ心地を試せる
コンタクトレンズは医療機器であり、“合っているかどうか”は見え方だけで判断できないこともあります。特に乱視用レンズは微調整が重要になるため、自己流では限界があります。
まずは信頼できる眼科で処方を受け、自分に合ったレンズを選びましょう。そ
まとめ
AX(軸度)は、乱視用コンタクトレンズを使ううえで欠かせない大切な数値です。見え方に影響するだけでなく、装用感にも関わるため、自分に合ったAXを知ることは快適なコンタクト生活にもつながります。
また、AXはCYLやSPHといった他の数値とセットで考える必要があり、レンズのベースカーブや素材なども快適さに影響します。これらすべての要素を正しく理解し、自分の目に合ったレンズを選ぶためには、やはり眼科での検査と処方が欠かせません。
正確な情報と専門家のアドバイスをもとに、自分にぴったりのコンタクトを選ぶことで、乱視による見えにくさを解消し、毎日をもっと快適に過ごせるようになります。この記事を参考に、焦らず、丁寧に選んでいきましょう。