「うっかりコンタクトレンズを水道水で洗ってしまった…」「ちょっとすすぐだけなら大丈夫だよね?」そんな経験や不安をお持ちではありませんか?
一見きれいに見える水道水ですが、実はコンタクトレンズとの相性はとても悪く、目の健康に大きな影響を与えることがあります。
本記事では、なぜ水道水でレンズを洗ってはいけないのか、その理由や万が一触れてしまったときの対処法、そして日常で気をつけたい正しいケアのポイントまでを、やさしく丁寧に解説しています。大切な目を守るために、今知っておきたい情報を一緒に確認していきましょう。
水道水でコンタクトレンズを洗ってはいけない理由
「水道水ってキレイだし、ちょっとくらいなら使っても平気でしょ?」と思っていませんか? 実はその考えが、目のトラブルを引き起こすきっかけになるかもしれません。
ここでは、水道水とコンタクトレンズの相性が悪い理由を、3つのポイントに分けてわかりやすくお伝えします。
水道水にひそむアメーバなどの微生物リスク
一見キレイに見える水道水にも、実は目には見えない微生物が含まれていることがあります。特に注意したいのが「アカントアメーバ」という原生動物です。
このアメーバは自然界に広く存在していて、水道水の中にも入り込んでいることがあります。コンタクトレンズを水道水で洗ったり、装着したまま入浴したりすると、そこからアメーバが目に侵入してしまうことも。
感染すると「アカントアメーバ角膜炎」と呼ばれる病気を引き起こし、強い痛みや視力低下、最悪の場合は失明につながることもあります。
▼アカントアメーバによるリスクが高くなる行動
- レンズを水道水で洗う
- レンズ装着のままシャワーやお風呂に入る
- ケースを水で洗って乾かす
水道水=安全とは限りません。清潔そうに見えても、コンタクトのケアには絶対に使わないことが大切です。
レンズ素材と水道水の相性が悪い理由
コンタクトレンズの素材は、意外とデリケート。水道水に含まれるミネラルや不純物がレンズの状態を悪くしてしまうことがあるのです。
▼水道水がレンズに与える影響
- 水道水の鉄分やカルシウムがレンズに付着し汚れる
- 不純物を吸収して変形する
- 異物感が出やすくなる
たとえば、水道水に含まれる鉄分やカルシウムイオンがレンズ表面に付着すると、くもりやゴロつきの原因になったり、視界がにじんだりします。
また、ソフトレンズは水を吸収しやすい性質があるため、水道水の中の不純物まで取り込んでしまい、素材が変形してしまうことも。
ほんの少しの水でも、レンズにとっては大きな負担。目に入れるものだからこそ、素材との相性にも気を配りたいですね。
「すすぐだけ」もNG?やってしまいがちな間違い
「ゴミがついたからちょっとだけ水で流そう…」そんなふうに、水道水をサッと使ったことはありませんか?実はその“ついやってしまいがち”な行動こそ、トラブルの原因になることが多いのです。
▼よくあるNGケアとその落とし穴
- レンズを水でサッとすすぐ
- ケースを水道水で洗って自然乾燥する
- 洗浄液が切れていて水で代用する
水で軽くすすいだだけでも、微生物や汚れはしっかり残ってしまいます。また、レンズケースを水道水で洗ってしまうのもNG。目に見えない菌がケースの内側に残り、そこからレンズに移ってしまうこともあるのです。
「ちょっとだけなら…」が思わぬリスクに。正しいケアを習慣にすることが、目の健康を守るいちばんの近道です。
間違って水道水に触れてしまったときの対応法
「うっかり水道水で洗っちゃった…」そんなとき、どうすればいいの?と不安になりますよね。焦って目に入れてしまったり、また使っても大丈夫かな?と悩んだりする方も多いはず。
ここでは、水道水に触れてしまったときの正しい対処法と判断のポイントを順を追って解説します。
水道水で洗ってしまったらレンズは再使用できる?
気づかず水道水でレンズを洗ってしまった…。そんなとき、つい「拭けば大丈夫かな?」と考えてしまいがちですが、基本的には再使用せず、破棄するのが安心です。
▼水道水で洗ってしまった場合の対応ガイド
レンズ・用品の種類 | 対応の目安 |
ワンデーコンタクト | 新しいレンズに交換する |
2週間・1ヶ月タイプ | 使用を中止し、可能なら破棄する |
ハードレンズ | 必ず眼科に相談のうえ判断する |
レンズケースやピンセット | 新品に交換するのが安心 |
水道水には目に見えない微生物やミネラル分が含まれていて、レンズに一度でも触れてしまうと、完全に取り除くことが難しくなります。特にソフトレンズは水分を吸収しやすく、内部まで微生物が入り込んでしまう可能性があるため、安全性が保証できません。
もったいない気持ちはわかりますが、目は一生もの。少しでも不安がある場合は、新しいレンズに交換するのがベストな選択です。
違和感が出たときに確認すべき症状と注意点
水道水で洗ったレンズをうっかり装着してしまったあと、「ちょっとゴロゴロする」「目が赤い気がする」と感じたことはありませんか?その違和感、放っておくのはとても危険です。
▼こんな症状が出たら注意!
- 目がゴロゴロする、しみるように痛い
- 白目やまぶたの内側が赤くなる
- 視界がぼやけたり、かすむ感じがする
- 涙が止まらない、まぶしいと感じる
- レンズを外しても不快感が続く
特に注意したいのは、アカントアメーバによる感染症や角膜への刺激が原因で起こる初期症状です。自分の目の状態をしっかり観察し、早めに異常に気づくことが何より大切です。
これらの症状は「気のせい」や「疲れ目」ではないかもしれません。少しでも異変を感じたら、無理せず装用をやめることが大切です。
放置せず眼科に行くべきタイミングとは
「ちょっと赤いだけだし、様子を見ようかな…」と思っているうちに、症状が悪化してしまうケースは少なくありません。特に、目は繊細で傷つきやすく、早めの対応が視力を守るカギになります。
▼眼科を受診すべきタイミングの目安
- 痛みや赤みが24時間以上続いている
- 視界が明らかにおかしい
- 市販の目薬を使っても改善しない
- レンズを外しても不快感が消えない
「水道水に触れたかも」「ちょっとでも痛みや違和感がある」そんなときこそ、迷わず眼科を受診してください。医師にコンタクトの使用状況や異変を正直に伝えることで、適切な診察と処置を受けられます。
「我慢できるから大丈夫」ではなく、「少しでも不安なら診てもらう」が正解です。早めの判断が、目の健康を守るいちばんの方法です。
コンタクトレンズの正しいお手入れと使い方
コンタクトレンズを安全に使い続けるためには、正しいお手入れと使い方が欠かせません。
自己流で済ませてしまうと、目に負担をかけたり、思わぬトラブルを招くことも。
ここでは、毎日のケアで特に気をつけたいポイントを3つに分けてご紹介します。
洗浄・保存には必ず専用ケア用品を使う
コンタクトレンズは繊細な医療機器です。使い捨て以外のレンズは毎日きちんと洗って、清潔に保つ必要がありますが、水で代用してもいいかなと思ってしまうこと、ありませんか?
▼レンズケアに使用する主なケア用品と特徴
ケア用品の種類 | 主な特徴・用途 |
MPS(マルチパーパスソリューション) | 洗浄・保存・すすぎが1本でできる |
過酸化水素系洗浄液 | 強力な消毒力があり(中和が必要) |
保存液 | 装着前後にレンズを保管するために使用 |
レンズ用すすぎ液 | 装着前のすすぎ専用 |
実際には、水道水や精製水ではレンズを正しく洗浄・保存できません。レンズケアには、必ず目的に合った専用の洗浄液・保存液を使いましょう。最近では、「こすり洗い不要」など使いやすい製品も増えています。
コンタクトケア用品は「何となく」選ぶのではなく、自分の使っているレンズに合ったものを使うことが大切です。製品ラベルをよく確認して、正しい方法でケアしましょう。
洗面所でコンタクトを扱うときの注意点
コンタクトをつけたり外したりするとき、つい洗面所で済ませてしまうことが多いと思います。でも実は、洗面所は意外とリスクが多い場所なのです。
▼洗面所でのケア時に気をつけたいこと
- 手を洗ったあとは清潔なタオルでしっかり乾かす
- レンズを扱う前に、洗面台を水気のない状態にしておく
- レンズを落とさないよう、排水口にフタをする or タオルを敷く
- できれば清潔な机やテーブルでケアするのが理想
たとえば、洗面ボウルに水がたまっていたり、手洗いが不十分だったりすると、レンズに雑菌が付着するおそれがあります。また、レンズを落として排水口に流してしまうと衛生的にも心配です。
ちょっとした工夫でリスクはぐんと減らせます。「面倒でもひと手間」が、目を守る大切な習慣になりますよ。
お風呂やプールでの装用は避けるべき理由
「お風呂くらいならつけたままでいいか…」と思ってしまいがちですが、水場でのコンタクト装用はNGです。理由はとてもシンプルで、水がレンズに触れることで、感染症のリスクが一気に高まるからです。
▼水場でのコンタクト装用による主なリスク
場所 | 起こりやすいトラブル例 |
お風呂 | レンズにお湯が入り込んで変形・乾燥する可能性 |
プール | 塩素や雑菌がレンズを通じて目に入り込む |
温泉 | ミネラル分がレンズを傷め、目にも刺激が強い |
特にプールや温泉などの水には、アカントアメーバをはじめとする微生物が含まれていることがあり、これが角膜に入ってしまうと重大な目のトラブルに発展することも。また、お湯や塩素の影響で、レンズが変形したり乾燥しやすくなったりする場合もあります。
「少しの時間だから平気」と思わず、水が関わる場所ではレンズを外す習慣をつけましょう。目を守るには、「ちょっとだけ」の油断がいちばんの敵です。
まとめ
コンタクトレンズは毎日使うものだからこそ、正しい取り扱いが何より大切です。
水道水は一見清潔に見えても、目に見えない微生物や不純物が含まれており、レンズの洗浄や保存には絶対に使用してはいけません。たとえ少しだけ水に触れてしまったとしても、そのまま使い続けるのは目にとって大きなリスクにつながります。
正しい知識と丁寧な習慣を身につけることで、快適で安全なコンタクトライフが続けられます。目は替えのきかない大切な器官です。だからこそ、毎日のちょっとした意識が未来の健康を守ることにつながるのです。