「飯塚にあるボタ山ってどんな場所なんだろう?」「観光で行くなら、どこから見るのがいいの?」福岡県飯塚市を訪れる際、独特な形の山を見て気になったことはありませんか?
「筑豊富士」とも呼ばれるこの山は、実はかつての炭鉱街・飯塚を象徴する大切な場所。でも、地元の人以外には、その歴史や見どころ、どうやって行けばいいのかがあまり知られていないかもしれません。
この記事では、ボタ山が生まれた歴史的な背景から、きれいに写真を撮れるおすすめのビュースポット、さらに一緒に回れる周辺の観光地までを丁寧に紹介します。飯塚の街に溶け込むボタ山の魅力を知れば、旅の景色がもっと味わい深いものになるはずです。
飯塚のボタ山とは?歴史や「筑豊富士」と呼ばれる理由をわかりやすく解説
福岡県飯塚市にある「ボタ山」は、かつて日本のエネルギーを支えた炭鉱の記憶を今に伝える場所です。
遠くから見るときれいな形の山に見えますが、実は人の手で作られた巨大な「人工の山」だということをご存知でしょうか。
ここでは、飯塚のシンボルとして愛されるボタ山がどのようにして生まれたのか、その歴史と特徴をご紹介します。
▼飯塚のボタ山(旧住友忠隈炭鉱ボタ山)の基本データ
| 項目 | 詳細 |
| 正式名称 | 旧住友忠隈(ただくま)炭鉱ボタ山 |
| 場所 | 福岡県飯塚市忠隈(ただくま) |
| 高さ | 約121メートル(平地からの高さ) |
| 面積 | 約22.4ヘクタール(東京ドーム約5個分) |
| 形状 | 整った円錐形(3つの峰が連なる) |
| 由来 | 石炭採掘時の不要な岩石(ボタ)が積み重なったもの |
もともと「ボタ」とは、石炭を掘るときに一緒に出てくる、使い道のない岩や質の悪い石のことです。炭鉱が活発だった頃、選炭場(せんたんば)で分けられた大量のボタが毎日積み上げられ、長い年月をかけて今の大きな山の形になりました 。
飯塚市に残るこのボタ山は、特に形が整っていて美しいことから「筑豊富士(ちくほうふじ)」とも呼ばれています。かつてはこの地域にたくさんのボタ山がありましたが、その多くがなくなってしまった今、当時のままの姿を残す日本最大級のボタ山として、とても貴重な存在になっています 。
真っ黒だった山肌も今ではすっかり緑に覆われ、季節ごとに表情を変える憩いの景色として地域に溶け込んでいます。何気なく眺めているその美しい山の形は、実は日本の近代化を支えた人々の営みが生み出した、歴史そのものといえるでしょう 。
ボタ山へ行く前にチェック!アクセスや注意点、おすすめの季節
飯塚のボタ山(旧住友忠隈炭鉱ボタ山)は市街地からもよく見えますが、実際に近くまで行くならアクセス方法やベストな時期を知っておくと安心です。ここでは、スムーズに訪れるための行き方や、見学時のマナー、季節ごとの見どころをご紹介します。
▼ボタ山へのアクセスと訪問のポイント
| 項目 | 詳細 |
| 場所 | 福岡県飯塚市忠隈エリア |
| 最寄り駅 | JR福北ゆたか線「飯塚駅」から徒歩約25分程度 |
| 車でのアクセス | 国道201号線などが近く、周辺道路から眺望可能 |
| 注意点 | ボタ山自体は私有地や立入禁止区域が含まれるため、登山ではなく「眺める観光」が基本 |
| おすすめ時期 | 春の新緑、秋のコスモスシーズン(10月中旬頃) |
アクセスについては、JR飯塚駅から徒歩圏内にあるため、散歩がてら向かうことができます。車の場合は専用の観光駐車場が整備されているわけではないため、周辺の交通ルールを守りながら、見晴らしの良いポイントを探すのが一般的です 。
注意点として最も大切なのは、ボタ山は基本的に「登る山」ではなく「眺める山」だということです。現在は自然に還りつつありますが、足場が悪かったり、管理上の理由で立ち入りが制限されていたりする場所が多いため、無理に山に入ろうとせず、少し離れた場所からその雄大な姿を楽しむのがマナーです 。
季節のおすすめは、なんといっても秋です。特に10月から11月にかけては、近くを流れる遠賀川の河川敷に広がるコスモス畑が見頃を迎え、ピンク色の花畑と緑のボタ山という、飯塚ならではの美しいコントラストを楽しむことができます 。
もちろん、春の新緑や冬の静かな佇まいも風情があり、訪れるたびに違った表情を見せてくれるのも大きな魅力といえるでしょう。
ボタ山とあわせて訪れたい!飯塚のおすすめスポット
ボタ山を眺めた後は、飯塚市内に残る歴史的な建物や、季節の風景が楽しめる場所へ足を運んでみませんか。
炭鉱の時代を伝える豪華なお屋敷や、今も愛され続ける劇場、自然豊かな河川敷など、ボタ山とセットで楽しめるスポットがすぐ近くにあります。
飯塚ならではの歴史と文化、そして自然に触れる時間を過ごしてみてください。
旧伊藤伝右衛門邸|炭鉱王の美学が詰まった豪邸
旧伊藤伝右衛門邸は、筑豊の炭鉱王として名を馳せた伊藤伝右衛門と、歌人・柳原白蓮が暮らした邸宅です。明治から昭和初期にかけて建てられた近代和風建築で、当時の豪華な暮らしぶりを今に伝えています。
約1,500坪の美しい庭園に囲まれた邸内には、九州で初めて導入されたという水洗トイレや、アールヌーヴォー調の洋間など、当時としては最先端の設備が残存。 石炭産業が華やかだった時代の空気感を肌で感じられる、飯塚観光では外せない場所です。
令和2年には国の重要文化財に指定され、その歴史的価値がますます注目されている場所となっています。
▼旧伊藤伝右衛門邸の基本情報
| 項目 | 詳細 |
| 所在地 | 福岡県飯塚市幸袋300 |
| 電話番号 | 0948-22-9700 |
| 営業時間 | 9:30〜17:00(入館は16:30まで) |
| 定休日 | 水曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12月29日〜1月3日) ※イベント期間中は無休の場合あり |
| 入館料 | 高校生以上 300円、小・中学生 100円 ※土曜日は小・中・高校生無料 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| 公式サイト | https://www.kankou-iizuka.jp/denemon/ |
嘉穂劇場|江戸の情緒を残す芝居小屋
嘉穂劇場は、昭和6年(1931年)に建てられた木造2階建ての芝居小屋で、江戸時代の歌舞伎様式を今に伝える貴重な建築物。 柱を使わずに大きな梁で構成された客席は、かつて炭鉱で栄えたこの地ならではのスケール感があり、約1,200人を収容できる贅沢な空間となっています。
2025年12月現在、再開に向けた協議・調整が行われており、建物内部への入館はできませんが、木曜日から日曜日・祝日の10時から16時まで敷地内の駐車場が開放されており、外観を見学することができます。
レトロな外観は写真映えするスポットとして人気で、飯塚の歴史的シンボルのひとつとして今も地域の人々に愛されています。
▼嘉穂劇場の基本情報
| 項目 | 詳細 |
| 所在地 | 福岡県飯塚市飯塚5-23 |
| 電話番号 | 0948-22-0266 |
| 営業時間 | 敷地内見学:木曜日〜日曜日・祝日 10:00〜16:00 ※建物内部への入館不可(2025年12月現在) |
| 定休日 | 月曜日〜水曜日、年末年始(12月31日〜1月4日) |
| 駐車場 | あり(敷地内駐車場を開放) |
| 公式サイト | https://www.city.iizuka.lg.jp/bunka/kahogekijo/kahogekijo.html |
遠賀川河川敷|コスモスとボタ山の共演が楽しめる
飯塚市の中心部を流れる遠賀川の河川敷「中の島」では、例年10月中旬から11月上旬にかけて、約15万本のコスモスが見頃を迎えます。秋の澄んだ空気の中でピンク色の花畑を楽しめるスポットとして、毎年多くの来訪者に愛されています。
飯塚バスターミナルから徒歩約5分とアクセスも良く、広々とした河川敷はのんびり散歩するのにぴったり。 遠くにボタ山を眺めながら、季節の花々に囲まれる開放的な時間を過ごせます。
市民が協力して種をまいて育てている花畑で、地域の温かさも感じられる場所です。
▼遠賀川河川敷(中の島コスモス畑)の基本情報
| 項目 | 詳細 |
| 所在地(河川敷駐車場) | 福岡県飯塚市芳雄町3 |
| 見頃 | 例年10月中旬~11月上旬 |
| 定休日 | なし(自由散策) |
| 料金 | 無料 |
| 駐車場 | あり(河川敷駐車場・無料) |
| アクセス | ・JR筑豊本線「新飯塚駅」から徒歩約15分 ・西鉄バス「飯塚バスターミナル」から徒歩約5分 |
まとめ
飯塚のボタ山は、かつて日本のエネルギーを支えた炭鉱の歴史そのものであり、「筑豊富士」として今も地域の人々に愛され続けるシンボルです。
季節ごとに変わるその美しい姿を眺め、旧伊藤伝右衛門邸や嘉穂劇場といった周辺の歴史スポットを巡ることで、飯塚ならではの文化や情緒をより深く感じることができるでしょう。
次の休日は、歴史と自然が調和する飯塚へ足を運び、ボタ山のある風景をゆっくりと楽しんでみてはいかがでしょうか。
※訪問の際は最新の営業情報を、各スポットの公式サイトやSNSで事前にご確認ください。