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夜盲症とは?暗い場所で見えにくい原因と今日からできる対策法

ミエルネ編集部丨執筆協力:先進会眼科 福岡飯塚 / 岡 義隆

先進会眼科 福岡飯塚(岡眼科クリニック)のオウンドメディア「ミエルネ」では、「見える感動」をテーマに視力に関連した情報を発信しています。 メディア編集長は薬機法・医療法のYMAA個人認証マーク資格を取得しており、先進会眼科の執筆協力を得ながら信頼できる記事を読者にお届けします。

夕方になると足元が急に見えづらくなったり、トンネルに入った瞬間にヒヤッとしたりすると、「疲れているだけかな」と思いつつも不安が残りますよね。

明るい場所では普通に見えるのに、暗い場所だけ極端に見えにくくなる状態は、夜盲症として説明されることがあります。ただ、同じような見えにくさでも背景はさまざまで、自己判断が難しいのが正直なところです。

この記事では、夜盲症の基本的な仕組みから、考えられる原因、眼科での検査、日常でできる工夫までを、できるだけわかりやすく整理します。

夜盲症とはどのような症状?「見えにくさ」が起こる仕組みを解説

夜盲症は、単に「暗い場所が苦手」という感覚的なものではなく、目の機能に具体的な不具合が生じている状態です。明るい場所では不自由なく過ごせるのに、夕暮れ時や薄暗い室内になると急激に見えにくくなるのが特徴です。

なぜこのような現象が起きるのか、まずは目の構造と光を感じるセンサーの働きから見ていきましょう。

光をキャッチする「杆体(かんたい)細胞」の役割

私たちの目の奥にある網膜には、カメラのフィルムにあたる「視細胞」というセンサーが並んでいます。

この視細胞には得意な明るさが異なる2つのタイプがあり、夜盲症には「暗い場所担当」の細胞が深く関わっています。

▼2種類の視細胞とその得意分野

種類得意な明るさ働き・役割
杆体(かんたい)細胞薄暗い場所わずかな光を感じ取り形を認識する
錐体(すいたい)細胞明るい場所細かな視力や色を見分ける

通常、暗い場所では「杆体細胞」が主役となって働きますが、夜盲症では杆体細胞の感度が低下したり機能しなくなったりしています。つまり、明るい場所用のセンサー(錐体細胞)は元気でも、暗闇用のセンサーだけがスイッチオフになっているような状態です。

そのため、昼間の視力は良いのに、暗くなった途端に周囲の状況が掴めなくなるというギャップが生まれます。

明るい場所から暗い場所への切り替え「暗順応」について

明るい屋外から映画館のような暗い場所に入ると、最初は真っ暗で何も見えませんよね。でも、時間が経つと徐々に目が慣れて座席や通路が見えるようになります。

この目の感度調整機能を「暗順応(あんじゅんのう)」と呼びます。目の中で光を感じる物質「ロドプシン」が分解と再合成を繰り返すことで、私たちは明るさの変化に対応しています。

▼暗順応がおこる仕組み

段階目の状態変化
明るい場所光を浴びてロドプシンが分解される
暗い場所へ移動分解されたロドプシンが再合成を始める
時間の経過再合成が進み光の感度が高まる
順応の完了暗闇でも周囲が見えるようになる

通常であれば10~30分で感度が高まりますが、夜盲症の場合はこの「ロドプシンの再合成」が非常に遅い、あるいはスムーズに行われません

暗い場所に入ってしばらく経っても「いつまでも目が慣れない」と感じるのは、このシステムがうまく作動していないサインといえます。単なる慣れの問題ではなく、光を感じる物質のサイクルが滞っていることが、見えにくさの根底にあるのです。

夜盲症の原因と種類。先天性と後天性の違いについて

夜盲症は「暗いところで見えにくい」という同じ訴えでも、背景にある原因が一つとは限りません。

場所で見えにくい」という同じ自覚でも、背景にある原因は一つとは限りません。
ここでは原因の方向性がつかみやすいように、先天性と後天性の特徴に分けて整理します。

遺伝子が関係する「先天性夜盲症」の特徴

先天性夜盲症は、生まれつきの要因が関係することがあるタイプです。子どもの頃から「暗い場所が苦手」という形で気づく場合があります。

▼先天性夜盲症で押さえたいこと

視点内容
気づきやすい時期子どもの頃から自覚する場合がある 
背景遺伝性の要因が関係することがある ​
症状の現れ方変化が一定の型がある ​
症状の現れ方ゆっくり変化する型がある ​

このような特徴を持つため、日常生活の中では以下のような感覚として自覚することが多いようです。

▼当てはまりやすい自覚の例

  • 暗い場所が昔から苦手だと感じる
  • 明るい場所では困らない
  • 夜になると不安が強くなる

先天性かどうかは見え方の印象だけでは判断が難しく、原因の切り分けには「いつ頃から」「どんな暗さで」困るかの整理が役立ちます。

昔からの傾向として暗所が苦手な場合は、先天的な要因を一つとして視野に入れ、見え方の変化に意識を向けてみるとよいでしょう。​

ビタミンA不足などが引き金になる「後天性夜盲症」

後天性夜盲症は、ある時期から暗所での見えにくさが気になり始めるタイプです。原因の一つとして、ビタミンA不足が関係することがあります。

▼後天性夜盲症で押さえたいこと

視点内容
起こり方途中から気になり始める場合がある 
背景栄養状態が関係することがある ​
代表的な要因ビタミンA不足が関連することがある 
整理のコツいつから困ったかを整理する ​

それまで普通に見えていたのに、急に以下のような変化を感じたときは注意が必要です。

▼後天性を疑うきっかけの例

  • 最近になって暗所が怖くなる
  • 夕方から急に見えにくくなる
  • 暗所での不便が増えている

後天性は「前は平気だった」という変化が手がかりになりやすいので、時期と場面を切り分けると原因の方向性が見えやすくなります。

生活の中で「最近見え方が変わった」と感じる場合は、後天的な要因が隠れていないか、生活習慣や体調を見直してみるとよいかもしれません。

日本における代表的な原因のひとつ「網膜色素変性症」

夜盲症の背景として、網膜色素変性症が挙げられることがあります。初期の自覚として暗い場所での見えにくさが出ることがあります。この病気は失明原因としても比較的多く、見え方の変化に注意が必要です。​

▼網膜色素変性症と夜盲症の関係

観点内容
位置づけ夜盲症の背景となることがある 
初期の自覚暗い場所で見えにくい場合がある ​
併せて起こる変化視野の変化がみられる場合がある ​

「暗所の見えにくさ」に加えて「見える範囲の変化」が重なる場合がある点は、原因を考えるうえで知っておきたいところです。​

暗い場所での不安が続くときは、単なる目の疲れで済ませず、眼科で背景にある原因を確認してもらうと安心につながります。

夜盲症の症状の特徴。「暗順応の遅れ」や視野の変化

夜盲症の症状は、単に「暗い場所が苦手」という漠然とした感覚ではなく、特定のシチュエーションで極端に見えにくくなる点が特徴です。

ここでは、日常生活の中で「あれ?」と気づく瞬間や、一般的な視力低下との違いについて整理します。

トンネルや夕暮れ時など、日常で気づきやすいサイン

夜盲症のサインは、明るさが急激に変化する場所や、薄暗い環境で顕著に現れます。

「明るい場所では問題なく見えるのに」というギャップが、夜盲症に気づくための大きなヒントになるのです。​

▼生活の中で見られる具体的なサイン

場面感じやすい変化
車の運転トンネルに入った瞬間に視界が真っ暗になる ​
夕方の外出日没近くになると急に歩くのが怖くなる ​
映画館入場直後に座席や通路が全く判別できない ​
夜の散歩街灯の少ない道で足元が見えずにつまずく ​

こうした場面で、他の人よりも目が慣れるのが遅い気がすると感じたら、それは目の感度調整がうまくいっていない可能性があります。

▼見え方のイメージを整理

  • 明るい昼間は看板の文字までくっきり見える
  • 薄暗くなると急に霧がかかったように見える
  • 対向車のライトが異常にまぶしく感じる

特に車の運転中にヒヤッとする場面が多い場合は、安全に関わるため早めの確認が必要です。「年齢のせいかな」と放置せず、特定の暗さで不便を感じていないか、普段の生活を振り返ってみるとよいでしょう。

単なる「目が悪い状態」や「疲れ目」との見分け方

目がかすんだり見えにくかったりすると、近視や乱視、あるいは疲れ目を疑いたくなりますが、夜盲症には明確な違いがあります。​

一番のポイントは、明るさによって見え方が変わるかどうかです。

▼一般的な目の不調と夜盲症の違い

状態見え方の特徴
近視・乱視明るさに関係なくピントが合いにくい ​
疲れ目(眼精疲労)目が重く一時的にかすむことがある ​
夜盲症明るい所は良好だが暗い所だけ見えない 

疲れ目やドライアイでも夕方に視力が落ちることはありますが、夜盲症の場合は「光量」が見えやすさに直結します。​

▼判断に迷ったときのチェック視点

  • メガネをかけても暗い場所では見えにくい
  • 目薬をさしても暗所の見え方が変わらない
  • 明るい部屋に戻るとすぐに見えやすくなる

視力検査の数値が良くても、暗い場所での実用的な視力が保たれているとは限りません。​眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても暗所での不安が消えない場合は、屈折異常(近視など)以外の原因を考えてみると納得がいきやすいはずです。

症状が進行する場合と、一時的な場合の違い

夜盲症には、ゆっくりと進行していくタイプと、体調や環境によって一時的に起こるタイプがあります。

見え方の変化が「継続しているか」どうかが、性質を見極めるひとつの目安になります。

▼症状の経過によるタイプの違い

タイプ経過の特徴
進行性の場合年単位で少しずつ暗所が見えにくくなる ​
一時的な場合体調や栄養状態によって良くなったりする ​
固定している場合昔から見え方の程度があまり変わらない ​

一時的なタイプは極端な偏食や消化吸収の不調などが背景にあることもあり、生活改善で変化することもありますが、進行性の場合は長期的な向き合い方が必要になります。

▼変化のスピードを確認するメモ

  • 1年前と比べて夜道の怖さが増している
  • 最近急激に見えにくくなった気がする
  • 子供の頃からずっと変わらない感覚がある

自分の症状がどのパターンに当てはまるのかを知ることは、今後の対策を考えるうえでとても大切です。​

急激な変化がある場合も、緩やかな変化がある場合も、記録に残しておくと専門家に相談する際にスムーズに状況が伝わります。

夜盲症の検査方法。眼科ではどのような診断を行うのか

夜盲症かどうかを診断するためには、通常の視力検査だけでは不十分な場合があります。そのため、眼科では「暗い場所での見え方」や「網膜の状態」を詳しく調べる専門的な検査が行われるのです。​

ここでは、受診時にスムーズに状況を伝えるための準備と、実際に行われる検査内容について解説します。

問診で医師に伝えるべき具体的なエピソード

眼科医にとって、患者さんが「どんな場面で困っているか」という情報は、原因を絞り込むための非常に重要な手がかりになります。​

単に「暗いと見えにくい」と伝えるだけでなく、具体的なエピソードを準備しておくと、より的確な診断につながります。​

▼伝えると診断の助けになる情報の例

項目具体的に伝えたい内容
時期いつ頃から気になり始めたか ​
場面トンネルや映画館など困る場所 ​
変化最近悪化したか、昔から変わらないか ​
背景血縁者に同じ症状の人がいるか ​

特に、家族や親戚に似たような症状の人がいるかどうかは、遺伝性の要因を考えるうえで大切な情報です。​

▼メモしておくと便利なエピソード

  • 夜間の運転でヒヤッとしたことがある
  • 子供の頃から夜道が怖かった
  • 最近、野菜を全く食べなくなった

医師はこれらの情報から「先天性か後天性か」「進行性かどうか」といった当たりをつけて検査を進めます。​診察室では緊張して忘れがちなので、事前にスマホのメモなどに箇条書きにしておくと、落ち着いて伝えられるのでおすすめです。​

視力検査に加えて行われる「眼底検査」や「視野検査」

夜盲症の診断には、一般的な「C」のマークを見る視力検査に加えて、目の奥の状態を調べる精密検査が必要です。​

網膜の異常や、光を感じる機能が正常に働いているかを確認するために、いくつかの検査を組み合わせて行います。​

▼夜盲症の診断に関わる主な検査

検査名何を調べるのか
眼底検査網膜や血管の状態を直接観察する ​
視野検査見える範囲が欠けていないか調べる ​
暗順応検査暗闇で目が慣れるスピードを測る ​
網膜電図(ERG)網膜が光に反応する電気信号を記録する ​

特に「眼底検査」は、点眼薬で瞳孔を開いて行うことが多く、検査後は数時間まぶしく感じることがあるので、車での来院は控えたほうが無難です。​

▼検査を受ける際の心構え

  • 時間に余裕を持って受診する
  • 検査後の運転は避ける手段で行く
  • コンタクトレンズは外せる準備をする

これらの検査を行うことで、見えにくさの原因が網膜にあるのか、それとも他の部分にあるのかがはっきりと分かります。​

「痛い検査なのかな」と不安になるかもしれませんが、基本的には光を見たり写真を撮ったりするものが中心なので、リラックスして受診してください。

夜盲症の対策と日常のケア。食事や環境づくりでできること

夜盲症と向き合うには、医療的なアプローチだけでなく、毎日の生活環境を見直すことも大切です。​見えにくさをカバーする工夫や、目に良い習慣を取り入れることで、不安を少しでも和らげることができます。​

ここでは、今日から実践できる食事や環境づくりのポイントを紹介します。

ビタミンAを多く含む食材と効率的な摂り方

後天性の夜盲症や、目の健康維持のために意識したいのが「ビタミンA」です。​ビタミンAは、光を感じる物質「ロドプシン」の材料になるため、不足すると暗い場所での見え方に影響が出やすくなります。

▼ビタミンAを豊富に含む食材リスト

分類食材例
動物性食品鶏レバー、豚レバー、うなぎ、卵黄 ​
植物性食品にんじん、ほうれん草、かぼちゃ、モロヘイヤ ​

ビタミンA(特に植物性のβ-カロテン)は脂溶性といって、油と一緒に摂ることで吸収率がアップする性質があります。

▼効率よく摂り入れるための工夫

  • 緑黄色野菜を油で炒める
  • サラダにはノンオイルではないドレッシングを使う
  • 動物性と植物性をバランスよく組み合わせる

ただし、サプリメントなどで過剰に摂りすぎると、逆に体に負担がかかることもあるので注意が必要です。​「これだけ食べれば治る」という特効薬ではありませんが、毎日の食事でおいしく栄養を補給することは、目をいたわる基本のケアになります。​

足元のライトや遮光眼鏡など、生活を助ける工夫

見えにくいことによる転倒や事故を防ぐためには、物理的な環境を整えるのが一番の近道です。​

特に「明暗の差」をできるだけ少なくする工夫が、生活の質を保つカギになります。​

▼家の中ですぐにできる安全対策

場所対策アイデア
廊下・階段人感センサー付きの足元ライトを設置する ​
寝室常夜灯をつけて真っ暗な状態を作らない ​
玄関段差のある場所に目立つ色のテープを貼る ​

また、屋外では「遮光眼鏡(しゃこうがんきょう)」という特殊なサングラスが役立つことがあります。​これは、まぶしさの原因となる特定の光だけをカットし、コントラストをはっきりさせて見えやすくする眼鏡です。​

▼外出時のサポートアイテム

  • 遮光眼鏡でまぶしさを抑える
  • 携帯用の小型ライトを持ち歩く
  • つばのある帽子で直射日光を避ける

自分にとって「どのくらいの明るさが快適か」を知り、それを補助する道具をうまく活用することで、外出時のストレスはずいぶん軽減されます。​

便利なグッズは積極的に取り入れ、無理せず安全に過ごせる環境を自分の手で作っていきましょう。​

定期的な眼科受診の重要性

症状が落ち着いているように感じても、定期的に眼科でチェックを受けることはとても大切です。​

特に進行性の要因がある場合、自分では気づかないうちに視野や視力が変化していることがあります。

▼定期受診がもたらすメリット

視点メリット
現状把握進行のスピードや今の目の状態を客観的に知れる ​
情報収集新しい治療法や補助具の情報を得られる ​
書類作成必要に応じて公的な支援の手続きができる ​

また、医師とのつながりを持っておくことで、生活上の悩みや不安を相談できる場所を確保できるという安心感もあります。​

▼受診のペースについて

  • 医師の指示した期間を守る
  • 見え方に変化を感じたら予約日を待たずに行く
  • 疑問点はメモにまとめて持参する

目は一生使い続ける大切なパートナーです。​「変わりないから行かなくていいや」と自己判断せず、専門家と一緒に目の健康を見守っていく姿勢が、長く快適な生活を守ることにつながります。

まとめ

夜盲症は、明るい場所では問題がなくても、暗い場所で見えにくさが強く出る症状で、背景に複数の原因があり得ます。

生まれつきの要因が関係する場合もあれば、ビタミンA不足など後から影響して起こる場合もあるため、「いつから・どんな場面で困るか」を整理しておくことが大切です。

また、検査では視力だけでなく、眼底検査や視野検査などで目の奥の状態を確認し、原因の手がかりを探します。日常では食事や照明などの工夫で不便を減らしつつ、見え方に変化があるときは早めに眼科で相談すると安心につながります。

  • この記事を書いた人

ミエルネ編集部丨執筆協力:先進会眼科 福岡飯塚 / 岡 義隆

先進会眼科 福岡飯塚(岡眼科クリニック)のオウンドメディア「ミエルネ」では、「見える感動」をテーマに視力に関連した情報を発信しています。 メディア編集長は薬機法・医療法のYMAA個人認証マーク資格を取得しており、先進会眼科の執筆協力を得ながら信頼できる記事を読者にお届けします。

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