コンタクトレンズを使っていて、「自分の近視、ここまで強くて大丈夫なのかな…」と不安に感じたことはありませんか?
特に視力が極端に悪い方にとっては、「度数に限界があるならどうすればいいのか」といった疑問や心配がつきものです。
この記事では、強度近視の方が安心してコンタクトレンズを使うために知っておきたい「度数の上限」や「限界を感じたときの対処法」について、わかりやすく解説します。さらに、快適に使い続けるためのケア方法や、無理をしない使い方の工夫も紹介しています。
コンタクトレンズの度数はどこまで対応できる?
コンタクトレンズを使いたくても、「自分の視力に合う度数があるのか?」と不安に思う方は少なくありません。特に視力が極端に悪い場合、どこまで対応できるのかを事前に知っておくことはとても大切です。
ここでは、視力と度数の違いから、市販コンタクトや眼科処方の対応範囲までをわかりやすく整理していきます。
視力と度数の違いとは?自分の目の状態を正しく知ろう
視力と度数は混同されやすい言葉ですが、意味合いが異なります。視力は「どれだけ見えるか」、度数は「どれだけ補正するか」を表すものです。
▼視力と度数の基本的な違い
| 用語 | 内容 |
| 視力 | 裸眼でどれだけ見えるか(例:1.0、0.1など) |
| 度数(D) | 視力を補うためのレンズの強さ(マイナスは近視、プラスは遠視) |
たとえば、視力0.1の人でも、適切な度数のレンズを使えば1.0程度まで見えるようになることがあります。
※ただし、必要な度数には個人差あり
ただし、同じ視力でも目の状態によって必要な度数は変わるため、数値だけで判断せず、眼科で正確に測定することが重要です。
市販コンタクトの上限はどれくらい?対応できる度数の目安
市販のコンタクトレンズは、一定の度数まで対応していますが、強度近視の方には限界があることも知っておきましょう。
▼市販コンタクトレンズの一般的な対応範囲
| タイプ | 度数範囲の目安 |
| ワンデータイプ | −0.50D〜−12.00D程度 |
| 2ウィークタイプ | −0.50D〜−12.00D程度 |
| 遠視用(プラス) | +0.25D〜+6.00D程度 |
製品によっては−16.00Dまで対応しているものもありますが、販売数は少なく、注文や取り寄せが必要な場合もあります。
度数が強くなるほど、レンズの厚みや装用感に影響が出ることもあるため、無理に市販品で済ませようとするのはおすすめできません。
自分の目に合うかどうかを知るためには、購入前に必ず眼科で検査を受けておくと安心です。
眼科処方のレンズならもっと強い度数も可能?
市販では対応しきれないような強度近視でも、眼科で処方されるコンタクトレンズで対応できることがあります。
特に特注タイプのレンズやハードコンタクトは、より高い度数に対応しています。
▼眼科処方レンズの一例と対応度数
| レンズの種類 | 対応可能な度数(目安) | 特徴 |
| ハードコンタクト | 度数範囲は製品によって異なるので眼科で相談を | 精度が高く、強い近視にも対応しやすい |
| 特注ソフトレンズ | −15.00D以上に対応(製品によっては−24.00Dまで) | 個別に設計されるため目に合いやすい |
このようなレンズは市販されておらず、眼科での診察や処方が必要です。価格が高めになることもありますが、視力をしっかり矯正したい方にとっては有力な方法です。
強度近視だからといって、すぐに諦める必要はありません。自分に合う度数が見つからないと感じたら、一度眼科で相談してみることをおすすめします。
強度近視の人が気をつけたい、度数限界のサイン
強い近視の人ほど、普段からコンタクトに頼る時間が長くなる傾向があります。しかし、使っている度数が自分の目に合っていない、あるいはそもそも限界に近づいているとしたら、そのまま使い続けるのは危険です。
ここでは、度数の限界が近いときに現れやすいサインや、見逃しやすい不調について解説します。
見えにくさや疲れ目…もしかして度数が合っていない?
「なんとなくピントが合わない」「最近、目がすぐ疲れる」──こうした違和感は、コンタクトの度数が今の目の状態に合っていない可能性があります。
強度近視の方は、目の負担が大きくなりやすいため、軽い度数の人よりも「少しの度数ズレ」で見え方に違和感を感じやすい傾向があります。そのため、微調整が必要になる場面も多くなります。
▼度数が合っていないときに現れやすい症状
- 遠くの文字がぼやけて見える
- 焦点を合わせるのに時間がかかる
- 長時間の作業で目が疲れやすい
- 見ていると頭痛や肩こりが出る
こうした症状があるのに「度数は合っているはず」と思い込んで使い続けてしまうと、知らないうちに目に負担をかけ続けることになります。
見えにくさを感じたら、単なる疲れではなく、度数の見直しが必要なサインかもしれないと捉えることが大切です。
度数が限界に近づくと起こりやすいトラブルとは
強度近視の方が無理にコンタクトで視力を補おうとすると、度数の限界に近づきやすくなります。限界に達しつつある状態では、目の負担が増え、トラブルのリスクが高まります。
▼度数が限界に近づいたときに起こりやすいトラブル
| トラブル内容 | 主な原因 |
| 見え方の不安定さ | 過剰な矯正や度数の誤差 |
| 目の乾き・ごろつき | 厚みのあるレンズによる負担 |
| 装用中の不快感 | レンズが目に合っていない可能性 |
| 眼精疲労・頭痛 | 視力の矯正が不十分な状態での使用 |
特に強い度数のレンズは厚みが出やすく、酸素透過性や装用感に影響します。これにより目が酸欠気味になったり、レンズのフィット感が悪くなったりすることもあります。
度数が限界に近い状態では「視力は見えていても、目にはかなりの負担がかかっている」ことを意識する必要があります。
我慢は禁物!コンタクトの違和感を放置するとどうなる?
「少し乾くけど我慢できる」「疲れるけどまだ使える」──そうして違和感を抱えたまま使い続けてしまう人は少なくありません。
しかし、違和感を放置することで、目に深刻なトラブルが起こる可能性があります。
▼コンタクトの違和感を放置すると起こりうること
- 角膜への負担が蓄積し、キズや炎症の原因になる
- 酸素不足による角膜内皮細胞の減少
- 一時的な視力低下やかすみ目が慢性化する
- コンタクトの装用自体が難しくなることもある
特に強度近視の人は、レンズの性能に頼りがちなぶん、目への負担に気づきにくい傾向があります。少しでも異変を感じたら、我慢せず眼科を受診し、必要であれば度数やレンズの種類を見直すことが大切です。
今のコンタクトが合わないと感じたときにできること
度数の限界に近づいたコンタクトレンズは、目の不調や見えづらさの原因になることがあります。「なんだか最近、合っていないかも」と感じたら、その違和感を放置せず、視力矯正の方法自体を見直すことも大切です。
ここでは、今のコンタクトが合わないと感じたときに考えられる対応策について紹介します。
ハードコンタクトや特注レンズに替えてみる
ソフトコンタクトレンズを使っていて「視力が出にくい」「レンズが合いにくい」と感じた場合、ハードコンタクトに切り替えることで、より安定した見え方が得られることがあります。
▼ハードコンタクトや特注レンズの特徴
| 種類 | 特徴 | 対応度数(目安) |
| ハードコンタクト | レンズが小さく酸素を通しやすい/高精度 | −1.00D〜−25.00D程度 |
| 特注ソフトレンズ | 目の形状に合わせて個別に作成される | −15.00D〜−30.00D程度 |
ハードレンズは最初こそ装用感に慣れが必要ですが、長く使ううちに装着中の快適さや視力の安定性を実感する方も多くいます。特注レンズは、左右差が大きい場合や、既製品で合わない方にとって有力な方法です。
今のレンズで見えづらさを感じる場合は、ソフトからハードへの切り替えや、特注レンズの検討が視野に入ります。
ICL(眼内コンタクトレンズ)という視力矯正法を検討する
強度近視で、コンタクトレンズの度数が対応しきれなくなってきた場合、「ICL(眼内コンタクトレンズ)」という選択肢もあります。
これは、目の中に小さなレンズを挿入する視力矯正手術で、角膜を削らない点が特徴です。
▼ICLの主な特徴
- レンズを目の中に挿入し、視力を矯正する
- 角膜を削らないため、角膜が薄い人にも対応可能
- レンズは取り出せるため、可逆性がある
- 対応度数が広く、−18.00Dまで対応可能
※−15.00Dを超える場合は慎重に判断が行われる
ICLは、コンタクトやメガネでは矯正しきれない強度近視にとって、選択肢のひとつとなり得ます。ただし、医師による適応検査が必要であり、すべての人に可能なわけではありません。
日常生活において「常にコンタクトが手放せない」「度数が合わずにストレスが続いている」と感じている方は、検討してみる価値のある方法です。
メガネに戻す?ライフスタイルに合わせて見直してみよう
強度近視の人にとって、コンタクトが日常的な存在になっているケースは多いですが、目の疲れや違和感が続く場合には、いったんメガネに切り替えて目を休ませるという方法もあります。
▼コンタクトとメガネの使い分け例
| 状況 | メガネがおすすめな理由 |
| 在宅勤務中や読書のとき | 長時間の装用を避け、目を休ませられる |
| 目が乾きやすい日や花粉が多い時期 | レンズによる刺激を減らせる |
| 夕方以降に疲れが出やすいとき | コンタクトを外してリラックスできる |
強い度数でも、現在はレンズが薄型化されており、昔よりもメガネの選択肢は広がっています。ファッション性も上がっており、「見た目が気になるからメガネはちょっと…」という抵抗感が以前よりも少なくなってきています。
無理にコンタクトにこだわらず、生活シーンに応じてうまく使い分けることで、目の負担を減らしながら視力を保つことができます。
強い度数のコンタクトでも、快適に使い続けるコツ
強度近視に対応したコンタクトレンズは、厚みや装用感に特徴があり、目への負担も少なくありません。だからこそ、ただ度数が合っているだけではなく、毎日の使い方やケアの仕方にも気を配ることが大切です。
ここでは、強い度数のレンズでも目にやさしく快適に使い続けるための実践的なポイントを紹介します。
長時間の装用は大丈夫?目にやさしい使い方を見直そう
度数が強くなると、レンズが厚くなりやすく、そのぶん酸素の透過性が下がる傾向があります。これにより、長時間の装用は目にとって負担が大きくなりがちです。
特に、仕事や勉強で装用時間が長くなる人ほど、使用時間や外すタイミングを意識することが重要です。
▼快適なコンタクト装用時間の目安とポイント
| タイプ | 装用時間の目安 | 注意点 |
| ソフトコンタクト | 12〜16時間程度 | 装用時間を超えないようにする。酸素をよく通すタイプで約16時間、従来型で約12時間が目安 |
| ハードコンタクト | 12〜16時間程度 | 目が乾いてきたら早めに外すようにする |
目が疲れてきたと感じたら、無理をせず一度外して目を休めましょう。コンタクトは「つけっぱなし」が快適に感じても、目は確実にダメージを受けています。
毎日の習慣を少し見直すだけでも、装用中の不快感を減らし、目の健康を保ちやすくなります。
乾燥・かすみ目を防ぐ!おすすめのセルフケア習慣
強度近視のレンズは厚みがあるため、涙の交換がスムーズに行われにくく、乾燥しやすい傾向があります。その結果、夕方以降にかすみ目やゴロゴロ感が気になることも。
こうした不調を防ぐには、毎日のちょっとしたケアがポイントになります。
▼かんたんにできるセルフケア習慣
- 加湿器を使い、部屋の湿度を50%以上に保つ
- パソコンやスマホの画面をこまめに見上げる
- 1時間ごとに意識的に瞬きを多くする
- 目薬を使うときは防腐剤フリーのものを選ぶ
- レンズを外したあとは、目元を温めて血行を促す
乾きやすい目をいたわるためには、環境を整えることも大切です。特にエアコンの風が直接当たる場所では、乾燥しやすくなるので注意が必要です。
毎日少しだけ意識することで、乾燥による不快感を軽減し、レンズの装用がラクになります。
眼科の定期検診を受け、快適に使い続けよう
度数が強いコンタクトほど、目への影響が出やすいため、眼科での定期的なチェックは欠かせません。
「見えているから大丈夫」と思っていても、目の表面に負担が蓄積しているケースは少なくありません。
▼定期検診でチェックできること
| 内容 | 検査の目的 |
| 視力測定 | 現在の度数が合っているかを確認 |
| 角膜の状態確認 | 傷や炎症の有無をチェック |
| レンズのフィッティング | レンズが正しくフィットしているかを確認 |
| 涙の量・質の測定 | ドライアイの兆候を早期に把握 |
トラブルが起きてからではなく、問題が起きる前に予防的に診てもらうことが、快適なコンタクト生活を長く続けるカギになります。
少なくとも3ヶ月に一度は眼科で検診を受け、自分の目の状態をきちんと把握しておくことが大切です。
まとめ
コンタクトレンズには対応できる度数に限界があり、特に強度近視の人にとっては、その範囲を正しく理解しておくことが大切です。市販品の多くは−12.00D前後までが一般的ですが、眼科での処方や特注レンズであれば、さらに強い度数にも対応できます。
ただし、視力が補えていたとしても、目に合っていない度数を使い続けることで、疲れや違和感、さらにはトラブルにつながることもあります。コンタクトが合わないと感じたときには、ハードレンズや特注レンズへの切り替え、ICLといった矯正手術、メガネとの併用など、生活スタイルに合わせた対応を検討しましょう。
強い度数でも無理なく使い続けるには、目の状態に合わせた使い方と意識的なケアがポイントです。正しい知識と習慣を身につけ、強度近視でも快適にコンタクトレンズを活用しましょう。