コンタクトレンズを選ぶとき、「-1.00」や「-4.50」など、見慣れない“マイナス”の数字に戸惑ったことはありませんか?
数字が大きいほど視力が悪いということは何となくわかっていても、「マイナスってどういう意味?」「自分にはどれが合ってるの?」と疑問を持つ方は多いものです。
この記事では、コンタクトレンズの「マイナス」表記の意味や、視力との関係、度数の見方や選び方まで、初めての方でもわかりやすく解説します。
マイナスは何を意味する?度数表記の基本を知ろう
コンタクトレンズの度数には「-1.00」や「-5.00」など、マイナス記号がついていることがあります。これは、視力補正のためのレンズの強さを表す記号です。
ここでは、「マイナス」が何を意味するのかを基本からわかりやすく解説します。
コンタクトレンズの度数でよく見る「-1.00」はなに?
「-1.00」などの数字は、視力をどれだけ補正するかを示す「屈折度数(ディオプター)」のことです。この数字がどれくらいの近視の強さに対応しているかを表しています。
▼マイナス度数の例と意味
度数表記 | 近視の強さの目安 | 代表的な見え方の例 |
-0.75 | 軽度近視(視力0.7前後) | 遠くの看板が少しぼやける |
-2.50 | 中等度近視(視力0.3前後) | 教室や会議室の文字が見づらい |
-6.00 | 強度近視(視力0.1以下) | 数メートル先がはっきり見えない |
※コンタクトレンズの度数は基本的に0.25刻みで調整されています。これにより、自分に合った細かい矯正が可能です。
度数の数字が大きくなるほど、より強い近視に対応するレンズです。普段見ているレンズ表記も、意味がわかると選びやすくなりますね。
「マイナス=近視用」ってどういうこと?
マイナスの度数が使われる目的が、近視の矯正だからです。近視とは、目に入った光のピントが網膜の手前で合ってしまう状態で、遠くのものがぼやけて見えます。これを補うのがマイナス度数のレンズです。
▼マイナス度数が必要な人の特徴(例)
- 遠くの文字が見えにくい
- 黒板やスクリーンがぼやける
- 目を細めて見るクセがある
これらの症状がある人は、マイナス度数のレンズで視力矯正する必要があります。つまり、「マイナス=近視用」というのは、目の構造に合わせた適切な補正手段だと言えます。
「D」「SPH」など表記の読み方と意味
レンズの処方箋やパッケージには、「-2.00」以外にも「D」「SPH(球面度数)」や「PWR」などの記号が使われています。これらは度数や矯正内容を表します。
▼よく使われる度数表記と意味
表記 | 意味 |
D | 度数(ディオプター) |
SPH | 球面度数(近視・遠視の度数) |
CYL | 乱視度数 |
AXIS | 乱視の軸(角度) |
特に「SPH」は、近視や遠視を矯正するための基本的な度数で、「SPH -2.00」のように記載されます。こうした表記を理解することで、自分の視力に合ったレンズをより正確に選ぶことができるようになります。
視力と度数の関係|マイナスの数値が大きいとどうなる?
「-1.00」や「-6.00」といった度数は、数字が大きくなるほど視力の矯正が強くなります。ここでは、マイナス度数と視力の関係について、数字ごとの違いや目安をわかりやすく説明します。
「-1.00」と「-6.00」の違いはどれくらい?
マイナスの数値が小さい場合と大きい場合では、見え方に大きな差があります。たとえば「-1.00」と「-6.00」では、日常生活で感じる見え方が全く異なります。
▼マイナス度数による見え方の違い(例)
度数 | 見え方の特徴 |
-1.00 | 遠くの文字が少しぼやける。日常生活に支障は少ない |
-3.00 | 教室や会議室の遠くの文字が読みにくい |
-6.00 | 3m以上離れると顔の輪郭もぼやける |
このように、マイナスの数値が大きくなるほど、遠くが見えにくくなる傾向があります。視力に合わない度数を使用すると、目の疲れや頭痛につながることもあるため、適切な度数の把握が大切です。
視力とマイナス度数の目安早見表
視力検査で「視力0.1」や「視力0.7」などの数値を聞いた際、それがどの程度の度数に相当するのかを知っておくと便利です。
以下の早見表では、一般的な視力と対応するマイナス度数の目安をまとめています。
▼視力とマイナス度数の目安表
視力(裸眼) | 度数の目安(SPH) |
0.7〜1.0 | -0.50〜-0.75 |
0.3〜0.6 | -1.00〜-2.00 |
0.1〜0.2 | -2.50〜-4.00 |
0.1未満 | -4.50〜-6.00以上 |
この表はあくまで参考値ですが、視力と度数の目安を把握することで、現在の見え方がどの程度の補正を必要としているのかをイメージしやすくなります。ただし、正確な度数は専門機関での測定が必要です。
自分の度数はどう調べる?眼科検査でのチェック方法
自分に合った正確な度数を知るには、眼科での検査が最も確実です。視力測定だけでなく、目の状態や使用目的に応じて度数を決定します。
▼眼科での主な検査内容
- 視力測定(裸眼・矯正視力)
- 他覚的屈折検査(機械による度数測定)
- 自覚的屈折検査(レンズを通した見え方の確認)
- 目の健康チェック(角膜や瞳孔の状態)
こうした検査を通じて、度数だけでなくレンズの種類や装用時間のアドバイスも受けられるのが特徴です。
市販の度数付きコンタクトも処方箋なしで購入できます。ただし、度数が合っていなければ目の負担になることもあるので、安心して使い続けるためには眼科でのチェックが大切です。
コンタクトレンズを選ぶときの注意点
コンタクトレンズを選ぶとき、「メガネと同じ度数でいいのかな?」「一度測った度数なら大丈夫かも」と考える方も少なくありません。
実は、メガネとコンタクトでは必要な度数が違ったり、体調や目の状態によっても見え方が変わることがあります。
ここでは、度数選びでよくある注意点を3つの観点から紹介します。
メガネとコンタクトで度数が違う理由
メガネの処方箋にある「-2.00」という度数をそのままコンタクトに使っても、見え方に違和感を感じることがあります。これは、レンズと目の距離(装用位置)の違いが関係しています。
▼メガネとコンタクトの違い
比較項目 | メガネ | コンタクトレンズ |
装用位置 | 目から約12mm離れている | 角膜に直接乗せて使う |
度数の考え方 | 遠くから矯正する必要がある | より少ない度数で矯正できる |
影響 | 同じ視力でも必要な度数が異なる | 体感的に「強すぎ」に感じることも |
メガネでは「-2.00」でも、コンタクトでは「-1.75」や「-1.50」が合う場合があります。この違いを考慮せずにコンタクトを選ぶと、疲れやすさや視界のゆがみにつながる可能性があります。
そのため、メガネと同じ度数でコンタクトを選ぶのではなく、専用の度数で合わせることが大切です。
こんな症状は度数ズレかも?
一見、よく見えているようでも、コンタクトの度数が合っていないと目に負担がかかることがあります。
特に次のような症状が出ている場合は、度数ズレの可能性があります。
▼度数が合っていないときのサイン
- 夕方になると目が疲れやすい
- 見えているけどピントが合いづらい
- 頭痛や肩こりを感じることが増えた
- 長時間装用すると違和感が出る
- 視界が少しゆがんで見えることがある
こうした症状が続く場合、無理にレンズを使い続けず、眼科で度数の見直しを行うことが重要です。「なんとなく合っている」ではなく、「しっかり合っているか」を定期的にチェックするようにしましょう。
度数だけで選ぶのは危険!必ず処方を受けよう
市販のコンタクトレンズには、度数を選んでそのまま購入できる製品もあります。しかし、自分の記憶に頼って度数だけで選ぶのは、目の健康を損なうリスクがあります。
▼処方を受けるべき理由
- 正確な視力と度数を確認できる
- 乱視やドライアイなどもチェックできる
- コンタクトの種類・カーブ・直径の選定も含まれる
- 目の状態に合った装用時間やケア方法が聞ける
コンタクトレンズの度数は、単に数字だけでなく、目の状態や使用環境まで含めて決まるものです。そのため、自己判断で購入するのではなく、定期的な眼科の処方を受けるようにしましょう。
まとめ
コンタクトレンズにおける「マイナス」という表記は、近視の人が使う度数であり、視力矯正に必要なレンズの強さを示しています。数字が大きくなるほど近視の度合いが強いことを意味し、見え方や生活への影響も変わってきます。
また、メガネとコンタクトでは適切な度数が異なる場合があるため、自分に合ったレンズを選ぶには、眼科での検査と処方が欠かせません。何となくの自己判断で選んでしまうと、目の疲れや見えにくさの原因にもつながります。
「見えるから大丈夫」と思わず、正しい知識と確認を通じて、安心してコンタクトレンズを使い続けられる環境を整えていきましょう。