毎日のように使うコンタクトレンズ。使用後の容器を捨てるとき、「これって何ごみ?」「リサイクルできるのかな?」と迷ったことはありませんか?
とても小さく、何気なく捨ててしまいがちなブリスターやアルミシールですが、実は適切な処理をすることでリサイクルに活かせるケースもあります。
この記事では、コンタクトレンズ容器の素材や構造から、回収プログラムの利用方法、自治体での処分ルールまでをわかりやすく解説します。
コンタクトレンズ容器はリサイクルできるの?素材と仕組みを理解しよう
コンタクトレンズの容器は、小さいながらも日常的に出るプラスチックごみのひとつです。しかし、「何ごみとして出すべきか」「リサイクルできるのか」と迷ったことはありませんか?
まずは、容器に使われている素材や構造を知っておきましょう。
容器に使われている素材は?プラスチックの種類を解説
コンタクトレンズの容器には、主にプラスチックとアルミニウムが使用されています。素材ごとに性質が異なるため、処分方法やリサイクルの可否にも影響します。
▼コンタクトレンズ容器に使われる主な素材
部位 | 主な素材 | 特徴 |
ブリスター(容器本体) | ポリプロピレン(PP) | 軽量で丈夫、リサイクル適性が高い |
アルミシール | アルミニウム | 密封性が高いが分別が必要 |
台紙(パッケージ) | 紙または紙製ラベル | 資源ごみとして回収可能 |
このように、素材の種類によって処分方法も異なります。特にブリスターは再資源化が可能な一方で、そのままでは回収対象にならないケースもあるため、分別の工夫が重要になります。
ブリスターとアルミシール、それぞれの役割とは
コンタクトレンズの品質を保つため、容器はブリスターとアルミシールの2つのパーツで構成されています。それぞれに明確な役割があり、製品の安全性を守っています。
▼各パーツの役割と特徴
パーツ名 | 主な役割 |
ブリスター | レンズの保存容器。液体を保持し形を安定させる |
アルミシール | 内容物の密閉。雑菌や湿気から守り、衛生状態を保つ |
どちらのパーツもコンタクトレンズの機能に不可欠ですが、異なる素材で構成されているため、リサイクルを行うにはそれぞれを適切に分別して処理する必要があります。
安全性と衛生面を重視した構造が、処分時のひと手間につながっているのです。
リサイクルの可否が分かれる理由とは
コンタクトレンズ容器がリサイクルできるかどうかは、素材だけでなく「サイズ」「分別のしやすさ」「地域ルール」など複数の条件によって左右されます。
▼リサイクルが難しくなる主な理由
理由 | 説明 |
サイズが小さい | 選別機械で取り除かれることがある |
異素材が混ざっている | アルミとプラスチックが一体化している場合など |
地域によって分別基準が異なる | 自治体ごとにリサイクル可能なごみの基準が異なる |
リサイクルできる素材が使われていても、条件を満たしていなければ一般ごみ扱いになるケースも少なくありません。素材だけでなく、状態と地域のルールを正しく理解することが、リサイクルの可否を見極めるポイントになるのです。
どこでリサイクルできる?メーカーや団体の回収プログラムを紹介
家庭ではリサイクルが難しいとされるコンタクトレンズ容器ですが、近年はメーカーや団体による回収活動が広がりつつあります。特に、店頭で気軽に参加できる回収プログラムが注目を集めており、多くのユーザーがエコ活動として取り組んでいます。
ここでは代表的な取り組みを紹介しつつ、参加方法や注意点についても解説します。
アイシティecoプロジェクトとは?仕組みと実績
アイシティecoプロジェクトは、コンタクト専門店「アイシティ」が中心となって実施している容器回収プログラムです。
全国の店舗に設置された回収ボックスに、使用済みのブリスター容器を持ち込むだけで、誰でも簡単にリサイクル活動に参加できます。
▼アイシティecoプロジェクトの概要
項目 | 内容 |
実施主体 | HOYA株式会社アイケアカンパニ-のみ |
回収対象 | コンタクトレンズのブリスター(プラスチック部分) |
実施場所 | 全国アイシティ店舗数(378店舗) |
リサイクル方法 | 回収したプラスチックを再資源化し、リサイクル製品に活用 |
寄付・支援 | 回収量に応じて、公益日本アイバンク協会へ寄付が行われる |
この取り組みは、リサイクルだけでなく、社会貢献にもつながる点が特徴的です。2024年時点で、累計約7.98億個(797.8t)が回収されており、ユーザーの関心の高さと、エコ活動としての浸透度がうかがえます。
日常的に使うコンタクトレンズだからこそ、手軽な店頭回収を通じて環境保護に参加できるという点は、多くのユーザーにとって魅力的なポイントです。
店頭回収の対象になる容器の条件
リサイクル活動に参加するには、正しく分別された容器を回収ボックスに入れることが大切です。特にブリスターとアルミシールを分けて出すことが基本のルールとされています。
▼回収対象となる容器の条件
条件 | 内容 |
アルミシールを外していること | アルミ部分が残っていると異素材混合とされ、リサイクルできない場合がある |
中を軽く洗って乾かす | 衛生上の理由から、異物や液体が残った状態では回収対象にならない可能性がある |
ブリスター部分のみ | パッケージ箱や説明書などの紙製品は対象外。ブリスターだけを回収に出す |
他ブランドの容器でもOK | アイシティ以外のブランドでもブリスターなら受け入れ可能 ※一部例外あり |
多くのユーザーがアルミシールを外し忘れるケースがありますが、これを取り除くことでリサイクルの精度が上がります。正しい方法で出すことが、リサイクルの成功率を高め、資源循環の質を保つということを覚えておきましょう。
近くの回収拠点を見つける方法
アイシティecoプロジェクトなどに参加したいと思っても、「近くに店舗があるか分からない」「どこに持って行けばいいか不安」という方も多いのではないでしょうか。
現在では、公式サイトなどを通じて、簡単に最寄りの回収店舗を検索できる仕組みが整っています。
▼拠点検索に使える主な方法
方法 | 内容 |
アイシティ公式サイト | 店舗検索ページから「エコプロジェクト実施店舗」を指定して検索可能 |
Googleマップ | 「アイシティ エコプロジェクト 回収」などで周辺店舗を確認可能 |
提携自治体・団体の告知ページ | 一部地域では、自治体がHPなどで回収協力店舗を紹介しているケースもあり |
一部の自治体や企業では、学校や公共施設と連携した回収ボックスの設置も進められています。今後も回収ネットワークは広がる見込みですので、身近な拠点を一度確認してみるとよいでしょう。
自治体ではどう処理する?家庭ごみに出すときの分別ルール
コンタクトレンズ容器をリサイクルしたいと思っても、すべての人が店頭回収を利用できるわけではありません。近くに回収拠点がない場合や、少量しか出ないときは、家庭ごみに出すことになります。
ここでは、自治体のルールに従って正しく処分するためのポイントを整理します。
地域によって異なる分別区分のルールとは
コンタクトレンズ容器の処分方法は、お住まいの自治体によって大きく異なります。「プラスチック容器包装」に分類されるところもあれば、「可燃ごみ」や「その他プラスチック類」にまとめられる地域もあり、全国で統一されているわけではありません。
▼主な自治体での分類例(※2025年時点の情報を基に構成)
自治体例 | 分類区分 | 備考 |
東京都23区 | 可燃ごみ | サイズが小さく、分別処理が難しいため |
横浜市 | プラスチック容器包装 | アルミを除去し、洗浄後のブリスターが対象 |
大阪市 | 燃えるごみ | 素材よりも形状・サイズを優先して分類される傾向 |
札幌市 | その他プラ | 他のプラスチック製品と一緒に回収される |
このように、同じ容器でも地域によって処理方法が異なるため、必ず自治体のごみ分別ガイドを確認することが大切です。また、インターネットで「〇〇市 ごみ分別表」などと検索すれば、最新版の情報にアクセスできます。
ごみに出す際は、自分の地域ではどう扱われているのか?という視点を持つことが、環境にも自分にもやさしい選択につながります。
回収されない場合の正しい捨て方
もし、自治体でコンタクトレンズ容器のリサイクルが行われていない場合は、家庭ごみとして処分することになりますが、その際にも守るべきポイントがあります。
特に、異素材が混ざったままの状態や、液体が残ったままでの廃棄は避けるべきです。
▼家庭ごみに出すときの正しい処理手順
手順 | 内容 |
① アルミシールを剥がす | プラスチックごみとして出すために異素材を分離する |
② 容器を軽くすすぐ | 内容液を捨て、異物が残らないようにする |
③ 十分に乾かす | 他のごみに貼りつかないよう、水分をしっかり取り除く |
④ 指定のごみ袋に入れる | 地域のごみ区分に従い、分別してから出す |
これらの工程は手間に感じるかもしれませんが、適切な処理をすることでごみの品質が上がり、焼却時の負担軽減に。自分が出すごみに対して責任を持つ意識が、環境保護につながるのです。
注意したい「不適切な処分」での環境リスク
何気なく捨ててしまいがちなコンタクトレンズ容器ですが、処分方法を誤ると環境や回収工程に悪影響を与えることがあります。
特に注意すべきは、「そのまま流す」「異素材混合で出す」といった行為です。
▼不適切な処分とその影響
処分方法 | リスク・問題点 |
レンズや容器をトイレに流す | 配管詰まり、水質汚染、下水処理施設のトラブル原因に |
アルミ付きのままごみに出す | リサイクル困難、焼却時の異物混入 |
汚れたまま出す | 他のリサイクル資源に汚染を広げ、回収全体の品質を下げる |
特にプラスチック製品は、海に流れ着くとマイクロプラスチック問題の一因にもなります。私たちの小さな不注意が、大きな環境負荷につながる可能性があることを意識しておきましょう。
まとめ
コンタクトレンズの容器は、素材や構造に注目することでリサイクルの可能性が見えてきます。特に、ブリスター部分は適切に分別すれば再資源化が可能であり、店頭回収プログラムを利用すれば誰でも気軽に環境保護に貢献できます。
一方で、自治体ごとの分別ルールや回収対応の違いに注意が必要です。自宅近くに回収拠点がない場合でも、正しい方法で家庭ごみに出すことで、環境への負担を最小限に抑えることができます。
日々の小さな選択が、未来の資源と環境を守る大きな力になります。コンタクトレンズユーザーとして、今日からできる行動を始めてみませんか?